庵野秀明のドキュメンタリーを観ていたら、ある学生から「やりたいことがあるのですが、親から現実をみろ!といわれてしまって・・・・・将来についてどう考えたらいいのでしょうか?」と質問される場面がありました。
『現実を見ろ!』という主張は、理想について考える気力を奪う説得力があります。しかし本当に『現実を見ろ!』というような主張に、盲目的に従う必要があるのでしょうか?
理想論と現実の話
フロイトやユングとならび、心理学の三大巨頭の一人である「アルフレッド・アドラー」の思想について学べる「嫌われる勇気」を読んでいると、『現実』という単語があらゆるところで登場します。
たとえば「世界はどこまでもシンプルである」と主張する哲人に対して、青年は「理想論としてではなく、現実の話として、そう主張されているのですか?」と質問しています。
青年にとっての現実は、醜いものであり、複雑なものであり、なおかつ希望のないものです。だからこそ「世界はどこまでもシンプルである」と主張する哲人に対して、青年は「現実を直視せよ!」を反論しているのです。
青年の主張に対して哲人は「人は誰しも、客観的な世界に住んでいるのではなく、自らが意味づけをほどこした主観的な世界に住んでいます」と説明しています。
哲人の主張は、ようするに「あなたはあなた、わたしはわたし」という主張です。ひろゆき氏なら「それはあなたの感想ですよね?」と反論するのかもしれませんが・・・・・あまりピンとこない人も多いのではないでしょうか?
もしあなたに心当たりがあるなら、吉野源三郎さん(以下、敬称略)のエッセイをおススメします。
理想と現実
吉野源三郎といえば、「君たちはどう生きるか」という小説が有名です。宮崎駿監督の映画「君たちはどう生きるか?」のなかでも、登場するのでご存知な方も多いはずです。
吉野源三郎は「君たちはどう生きるか」があまりにも有名なので、その他の著書はあまり話題にならないのですが・・・
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